電気自動車ベンチャー発の小型商用EV『ELEMO』が日本で初めてナンバー取得に成功【密着取材】

7月の発売に向けて大きく前進!

陸運局に到着した『ELEMO』。

『HW ELECTRO株式会社』が発売する小型商用電気自動車『ELEMO(エレモ)』については、『小型商用電気自動車『ELEMO』を発売するベンチャー企業『HW ELECTRO』の心意気とは』(2020年11月29日)と題した記事でもお伝えしました。

改めてポイントを整理しておきましょう。まず、『HW ELECTRO』とは、もともとタイヤブランド『GOODRIDE JAPAN』の代表としてモータースポーツ活動などにも取り組んできた蕭偉城(ショウ・ウェイチェン)さんがCEOとして立ち上げた、日本発の電気自動車ベンチャーです。

乗用車では大手メーカーに太刀打ちするのは難しいけど「小型商用車にチャンスあり!」と一念発起したショウさんが選んだのが、アメリカに本社を置く『CENNTRO』社のベースモデルでした。そもそも、CENNTRO では欧米諸国のベンチャー企業などとパートナーシップを組み、このベースモデルを元に各国のニーズに合った小型EVを展開しています。

つい先日も、アメリカの小型EVメーカー『AYRO』が、このベース車両を活用した移動式のワクチンセンター(保管用の超低温冷凍庫や接種のための設備を搭載した小型EV)を展開するプロジェクトを立ち上げたことが『CNET Japan』でも報じられました。

AYRO 公式サイトより引用。

HW ELECTRO では、この CENNTRO のベースモデルを独自に輸入。足回りなどを改良し、AC電源を取り出せる100V1500Wのコンセントやブレーキの踏み間違い防止システムを取り付けるなど、日本仕様に仕上げた『ELEMO』を発表し、日本国内でのナンバー取得を目指してきたのです。

11月の取材時、ショウさんから「日本でもナンバーを取れるメドが立った」と聞いてはいましたが、期待し応援する気持ちの一方で「大丈夫かなぁ」と少し心配してました。というのも、私は日本EVクラブの活動を通じてエンジン車を電気自動車に改造したコンバージョンEVのナンバー取得についてもいろいろ体験してますが、ここ数年、改造電気自動車のナンバー取得がどんどん困難になっていたからです。

なので、ショウさんから「いよいよナンバーが交付される!」と連絡をいただいた時、「その現場に立ち会ってお祝いしたい!」と密着取材をオファー。晴れて今日の日を迎えることができたのでした。

晴れてナンバーを受け取った HW ELECTRO社CEOの蕭さん(右)と、執行役員の高橋さん(左)。

まずは、ショウさん、HW ELECTRO 関係者のみなさん、ナンバー取得成功、おめでとうございます! 既存メーカーからなかなか手頃で使い勝手のいい電気自動車が登場しない現状の中、これは大きな、喜ぶべきニュースだと思います。

『ELEMO』の概要については、前出の記事で説明してますし、HW ELECTRO の公式ウェブサイトでフライヤーがダウンロードできます。詳細を伝えるウェブページは「Coming Soon」となっていますが、ナンバー取得成功でプロジェクトは着実に一歩前進、もうすぐ詳しい情報が公開されるかと思います。

【関連サイト】
HW ELECTRO 公式サイト

量産モデルの販売と軽規格商用EV実現へ!

千葉運輸支局袖ケ浦自動車検査登録事務所。

12日の午後、ナンバーが交付される関東運輸局千葉運輸支局袖ケ浦自動車検査登録事務所でショウさんたち HW ELECTRO のスタッフと待ち合わせ。

ナンバー取得で大変だったのは? と尋ねてみると、私が懸念した「搭載するバッテリーの承認」は、すでに同型車が欧米で認可を取ってたくさん走っているモデルなのでスムーズに進んだものの「前後の軸重のバランスやブレーキ性能などのチェックや、書類上の手続きでかなり時間が掛かってしまった」とのことでした。

まだかまだかと、窓口の順番待ちをするショウさん。

この日、大詰めの手続き時にも、最初は「必要」と言われて印紙を貼った自動車重量税が電気自動車なので「免税」とわかって印紙を剥がし返金手続きが取られるなどのドタバタもあり。陸運局の窓口ご担当者にとっても初めてのレアケースとあって「書類上の手続きで時間が掛かった」というのが「わかるなぁ」という印象でした。

一度貼った収入印紙を水で濡らして剥がした、の図。
まずは車検証をGET。いよいよナンバープレート発行へ!

今回ナンバーを取得した車両は、日本仕様の『ELEMO』を仕上げ、発売に向けたプロモーションを展開するためのいわばプロトタイプでした。ナンバー取得に成功したので、次のステップとしては、まず「量産モデルを輸入して7月からをメドに多くの方にお届けすること」(ショウさん)です。

『ELEMO』の大きな特徴は、軽トラフォルムのベースに「フラットベッド」「アルミ平ボディ」「ボックスタイプ」と3タイプのボディが標準で用意されていることです。町工場的な技術があれば、地域や企業それぞれのニーズに合った特装荷台を工夫したり、搭載バッテリーに充電可能な太陽光発電システムを組み込むとか、夢というか構想を広げることが容易です。

ショウさんとしても「全国各地のユニークな技術や発想をもった企業、あるいは行政とも連携し、小型商用EVの可能性を拡げたい」という思いを持っています。

共感し、興味をお持ちの方や企業があれば、ぜひ、HW ELECTRO に問い合わせてみてください。

さらにショウさんの構想としては、この『ELEMO』で小型商用EVへの理解とニーズを広げ、日本ならではの軽自動車規格に合わせた軽『ELEMO』を開発し、発売することを目指しています。第一弾モデルの『ELEMO』は小型貨物の4ナンバー登録ですが、実は全長を少し短くすれば軽自動車規格をクリアできます。しかも、シャシー構造は変えずリアのオーバーハング部分を「削る」だけで、全長の短縮化が実現可能です。

最初のナンバー取得成功を機に「さっそく、CENNTRO との交渉を進めて、軽自動車規格モデルの開発とプロトタイプを輸入する作業に着手する」と、ショウさんの思いはますます熱く膨らんでいるようでした。

おりしも、出光タジマEVが独自の超小型EV開発を発表したり、佐川急便が7000台の配送用軽自動車を全て自社開発(ASFと共同開発)のEVに切り替えることを発表するなど、小型EVを巡る既存自動車メーカー以外の動きが多くなってきています。

最後はマスクを少し外して、ナンバーが付いたELEMOと関係者のみなさんで記念撮影。

HW ELECTRO、そして『ELEMO』のチャレンジが、なかなか動かないニッポンのEV普及に一石を投じてくれるはず! と期待しています。

(取材・文/寄本 好則)

関連記事

  1. 熊本大同青果株式会社「熊本県SDGs登録制度」に登録されました

  2. 株式会社オハナ不動産

  3. ホテル浦島「地産地消の推進」「生産者との連携」

  4. AD SUPER BRAIN 熊本県SDGs登録事業者に認定されました!

  5. 株式会社 東広島タクシー 地域を支える!地元の暮らしに寄り添うタクシー会社

  6. 新型コロナウイルスの感染拡大による物流への影響

  7. カメラが周辺環境確認、追突や歩行者接近などを警告

  8. アイドリングストップはバッテリーの寿命をどれだけ縮めるのか

  9. 土佐町とSDGs推進に関する包括連携協定を締結いたします

  10. 「グリーン・ニューディール」復活 (時事通信) – Yahoo!ニュース

  11. 米アマゾンのサードパーティーセラー比率60%超

  12. レギュラーガソリン 価格高騰!